戦術としての催眠術
どうも、こんにちは。
世代を跨ぐごとに弱体化される催眠技なんですが、前作では素催眠ゲンガーやキノガッサが相変わらず活躍していました。
では、今作における催眠技は戦術的価値があるのでしょうか?
そもそも素催眠が猛威を奮ったのは四世代までで、当時は眠りターンが最大7ターンもあったので命中を考慮しても強力な戦術として扱われました。
五世代でも眠りターンリセットがあったりしましたが、六世代は眠りが2〜4ターンであり、60%を当てたとしても33%の最速起きをされるとアドバンテージが稼げない為、実質の行動期待値としては低く少なくとも50%以上勝てる戦術ではありませんでした。
素催眠ゲンガーの強みというのは祟り目とのセットでの話であり、一発当たりさえすれば最速起きされようとも一度は威力二倍での祟り目が使えるので本来確定二発の相手を無傷で突破することが可能になる点です。
更に言えば影踏みにより確実に処理したい相手に催眠を撃てるのも独自の強みです。
眠り粉は命中75%で行動期待値としても50%以上は有利になる技ですが、六世代ではフシギバナ以外ほとんど使われていませんでした。
そのフシギバナでの採用率もキノガッサの胞子のように必須技というほどではなく、使われるとウザい程度の話。
そもそもフシギバナにしてもゲンガーにしても、眠りからの強力な積み技というのが無いので結局素のスペックの高さで戦うポケモンであり、他の技を入れないと勝てない相手というのも存在していました。
どんな相手でもとりあえず眠らせて積み技を使うポケモンというのは、六世代で登場したビビヨンと一部プレイヤーが使う胞子剣舞両採用のキノガッサくらいでしょうか。
ビビヨンは特性によりねむりごなを実に98%の確率で(頭おかしい)使うことが出来ます。
更に無効の草タイプに対してはこれまた命中の上がった一致技の暴風、そして最強クラスの積み技である蝶の舞を習得するなど眠りを戦術として使うのに全てがシナジーしているポケモンです。
その根幹を支えるのは特性ふくがんで、この特性が無ければ害悪と言われることも無かったことでしょう。
胞子剣舞のキノガッサはスイクンやポリゴン2、カバルドンのような耐久ポケモンをカモに出来る一方で、六世代からのテンプレ構成であるタネマシンガン/マッハパンチ/岩石封じのいずれかを切らなければならず、汎用性としては落ちてしまいます。
それでもハマれば強いことに間違いはないですが。
これらに共通して言えることは、必中(ほぼ)の催眠技があるからこその戦術であり、60%しか無い素催眠では成り立たないということです。
しかしながら七世代、ここに来て素催眠を戦術として扱う輩が現れました。
C173というゲーフリの悪ふざけ、火力インフレの申し子デンジュモクです。
デンジュモクの素催眠が強力な理由は、外れても83族であるSを補う積み技として使える点でしょう。
当たれば最強クラスの積み技であるほたるびを積んで勝ちがほぼ確定するポケモンではありますが、そうでなくてもC173に加えてビーストブーストで積むことも出来ます。
つまり催眠術+3ウェポンでも充分すぎるリターンがあるということです。
ちなみに他のZ催眠術の使い手は現状メガ進化が無いサーナイトが候補になるかも、程度でSを上げたところでどうしようもない連中が多いです。
このポケモンのやらしい点は、ラム持ちを後から出しても対策にならない点です。
ラム持ちを後出しすれば普通の催眠術であれば相手は二連続で当てる必要が出てくるので64%はこちら有利に立ち回れますが、デンジュモクに対しての後出しだとSが逆転されて大抵のポケモンは上から縛られてしまいます。
よって、催眠ゲンガー対策になるラムガブリアスもめざ氷デンジュモクには勝てません。
逆に一体を犠牲にして上から叩くしか無いので、サンムーンシーズン序盤はスカーフガブリアスが流行しました。
七世代催眠対策として出たはずのカプ・コケコも、デンジュモク対策どころか強化してしまうので使いにくいですし。
ゲーフリはもう、対戦環境をどうしたいのかわからない……
最近はデンジュモクもガブリアスも数を減らしてるみたいですが、対策を切ってると40%の催眠外しをお祈りするしか無くなるので依然強力なポケモンだと思います。